彗星あれこれ
今年も間もなく終わります。今年最大の天文イベントといえば……
あ、最初にお断りしておくと、私はガチの天文ファンではありません。天文についての知識はほとんどないし、天体望遠鏡などの機器は何も持っていません。野鳥撮影に使う望遠レンズ付きのデジタル一眼カメラがあるだけです。
住んでいる場所は大都会というほどではないですが市街地のため、見える星も少ないです。オリオン座の三つ星は見えているので、おそらく2等星くらいまで見られる程度です。だからといって、星空を楽しむために星の見やすい場所まで移動する元気(?)はありません。クルマもないし(..;)
そんな“ゆる天文ファン”の私にとっての天文イベントとは……月蝕、日蝕、月と惑星の接近、“大”彗星くらいです。そう大彗星です(^^) 私にとって今年最大の天文イベントは「紫金山・アトラス彗星」でした。
年明けくらいから一般向けのニュースでも話題になって、私にとっては1997年のヘールボップ彗星以来の肉眼で見える彗星になりそうで、地球に近づく9月末が待ち遠しかったです(^^)
いよいよ待望の9月末。件の彗星は夜明け前の東の空に現れる(はず)のため、早起きしてカメラを抱え自宅マンションの外階段を10階まで登る毎日。でも連続して発生する台風の影響か? 曇り空が続き残念な日々でした。
もっとも我が家の東側には駅を中心にした商業施設があり、夜でもかなり明るいので例え晴れていても見えたかどうか?? 10月中旬になれば日没後の西の空に見えるらしいので、そちらに掛けることにしました。10月の秋晴れにも期待(^^)
しかし10月中旬になっても天気がイマイチ、秋晴れはどうした? 昼間は晴れていても夕暮れ時になると雲が増えてしまいます。
さらに我が家の西側は丹沢山地が鎮座ましましており、高度の低い彗星がその陰にあるのか、雲のせいで見えないだけなのか? 判断がつきません。
彗星がどの位置に見えるか? の情報は公開されていますが、それを見てもイマイチ確信が持てません。実際に見ないことには……その辺が“ゆる天文ファン”のゆるい所です(^0^;)
というわけで、天気が良好な日に確実に見えそうな場所に行くことにしました。電車を使って短時間で簡単に行けて、そこそこ暗くて、西側に障害物が無い場所……地図とにらめっこして、江の島弁天橋がいいだろうということになりました。
10月15日、天気は晴れだけど、湿度が高いためか靄がかかったような空。でも週間予報を確認すると、翌日からしばらくの間は曇りか雨。彗星は徐々に遠ざかっていくので、次の晴れを待っていたら手遅れかも? と言うことで、とにかく江の島弁天橋に行ってみることにしました。
ちょうど空が暗くなった頃に橋に着くと、西の空にスマフォやカメラを向けてる人がかなりいました。今日来たのは正解?
ところが空には薄い雲が広がっていて、更に漁港の明かりが強く彗星を見つけることができません。他の人は見えてるの? 自分の眼が悪いだけ?
途方に暮れていると、近くにいたオジサン(人のことを「オジサン」呼ばわりできる歳でもないだろう > 自分)が「左の明るいのが金星で、右のがアークトゥルス。二つの星の中間辺りありますよ。」と教えてくれました、ありがたい。
自分の眼で見えなくても、カメラには写るはず。まずは画角を広めの14mm(35mm換算で28mm)にしてパチリ。機材はOM SYSTEM OM-1 + M.ZUIKO 12-100 F4.0 PRO、感度 ISO12800でF4.5 1/2秒です。解放のF4.0で撮ったはずがいつの間にかF4.5になっていました。設定ダイヤルに指が触れてずらしちゃったかな?
撮った写真がコレ。ちょっと暗いけど彗星を捉えることができました。
※ページに合わせて縮小しているためちょっと見にくいかも……サイズの大きな写真は「紫金山・アトラス彗星」(Googleフォト)で見てください。
位置が分かったので今度は100mm(35mm換算で200mm)で。アップにするとカメラのファインダー上でも彗星の姿を確認することができました。ISO12800 F4(今度こそ解放) 1/2秒です。
あ、前の写真も含めて手持ち撮影です。外出先から直接来たので、三脚は持って来られませんでした。シャッタースピード1/2秒で手持ち撮影して、ほとんどブレないのは……手ぶれ補正機能さまさまです。
実は10月末にもう一つの彗星がやってきていました。その名も「アトラス彗星」。なんか似てますが別の彗星です。両彗星についている「アトラス」とは、小惑星地球衝突最終警報システム(Asteroid Terrestrial-impact Last Alert System)のことです。地球に衝突しそうな小惑星を監視するシステムなので、今後も彗星を発見するはずで……そのたびに名前に「アトラス」が付いたらややこし過ぎるので、命名方法を考えて欲しいですね。
話を戻します。この「アトラス彗星」、軌道が太陽に近すぎて消滅してしまったようです。昼間でも見えるくらい明るくなるかも? と期待されていたのに残念です。
今回の件で、思い出したのは1986年の「ハレー彗星」です。私は大学卒業そして就職を間近に控え、比較的時間があったので、カメラと三脚を担いで撮影に行きました。当時はかなり話題になっていたはずで、私と同世代以上の方は記憶に残っていると思います。
当時もクルマは無かった(..;)ので、京浜急行の最終電車で三浦海岸駅まで行き、そこから2時間歩いて城ヶ島へ。しかし天気がどんどんと悪化、雪も降り出しあえなく撤退。とぼとぼと城ヶ島大橋を渡っていると、通りかかったクルマが停まってくれ、駅まで送ってくれました。ありがたや(^^)
それで諦めたわけではなく、良く言えば「粘り強い」、悪く言えば「しつこい」私は、帰宅してから昼寝をし、夜に再出撃。今度は好天に恵まれ、まさに満天の星状態でした。
ハレー彗星はちょうど天の川の中にあり、肉眼では見つけられなかったため、カメラの向きを変えながら何度もシャッターを切りました。今と違いフィルムカメラですから、その場では撮影結果が分からなかったのです。
機材はNikon newFM2 + Nikor 50mm F1.4。サクラカラーから出たばかりのISO1600の高感度カラーネガフィルムを使い、確か60秒くらい(正確な記録がない)の長時間露光でした。
その時のネガは長らく行方不明だったのですが、先日実家を大捜索し、やっと発掘してきました。スキャンしたのがコレです。
もっとキレイに写っていた、と思っていたけど……記憶というのは美化されるものですね(^0^;)
もしも当時、今と同じ機材があればどんなに良かったか? 次にハレー彗星がやって来る時に期待しましょう。ハレー彗星は76年周期でやって来るので……ん? その時私は97歳(;゚ロ゚) 無理か?
とりあえず来年9月の皆既月蝕に期待しますかね(^^)
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